人工衛星と弾道ミサイル
「わが国は人工衛星を発射しますよ」とか
「わが国の上空を通過する弾道ミサイルが発射されますよ」とか
なんだか騒がしい週末となっていますが、
そんな中こんな報道もありました。
2009/3/31
国際的な非政府組織(NGO)の国際危機グループ(International Crisis Group)が"北朝鮮がプルトニウムを使用した核爆弾の小型化に成功し、中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程1300キロ)用の核弾頭を製造した可能性がある"とする報告書を発表
事の真偽は別として
これと似た話を聞いた事ないですか?
そうです。イラク戦争です。
イラク戦争の開戦理由はWikipediaによると以下の通りです。
(a,bが国際法的な理由、c,d,e,fが開戦時に主張されていた理由だそうです。もちろん誰でも編集する事が出来るWikipediaに書かれている事が真実とは限りません。)
a. 度重なる大量破壊兵器の査察妨害によって、
湾岸戦争の停戦決議である国連安保理決議687が破られている
b. 国連安保理決議1154で「この決議に対するいかなる侵害も、
イラクにとって最も重大な結果をもたらすであろう」という、
湾岸戦争停戦協定(安保理決議687)破棄条件の決議、つまり最終警告がされていた
c. 度重なる国連査察の妨害により、大量破壊兵器の廃棄確認が困難である
d. イラクは大量破壊兵器の保有を過去公言し、
かつ現在もその保有の可能性が世界の安保環境を脅かしている
e. 独裁者サッダーム・フセインが国内でクルド人を弾圧するなど多くの圧政を行っている
f. フセインとアルカーイダが協力関係にある可能性がある
今回の「北朝鮮が核爆弾の小型化に成功したかも」という報道は、2006年に北朝鮮が「地下核実験に成功」と発表した事も踏まえるとイラク戦争の開戦理由のdに似ている気がします。
また、北朝鮮側は「今回発射するロケットは弾道ミサイルではなく人工衛星ですよ」と発表していますが、実際に発射があれば"弾道ミサイルの開発・発射の中止"を求めた国際安保理決議1718が破られたと国連に認識される事になりそうな気がします。
とはいえ、
湾岸戦争が停戦状態だったイラクと、朝鮮戦争が停戦中の北朝鮮では大きな違いがあります。"核実験と弾道ミサイルの開発・発射の中止"は朝鮮戦争の停戦条件ではないですし、仮に人工衛星とされるものが打ち上げられたとしても、今後の流れは、さらなる核実験と弾道ミサイルの開発・発射の中止要求と核査察と経済制裁の継続という所でしょうか。
ところで、
今回の人工衛星・弾道ミサイル騒動で得をするのはいったい誰なんでしょう。
「北朝鮮」
アメリカと対話再開
→核とミサイルやめるからお金ちょうだい。経済制裁やめて援助ちょうだい。
「アメリカ」
北朝鮮は危険な国ですよ。核も持ってるかもしれませんよ。
→もっとPAC3(パトリオットミサイル)買ってちょうだい。在日米軍にもっとおもいやりちょうだい。
「日本」
政府は北朝鮮の弾道ミサイルに全力で対応しました。
→もっと政府支持率アップしてちょうだい。
ま、みんなそれぞれの思惑がある(ピンチはチャンスだ)って事ですかね。
経済援助やら兵器購入やら思いやり予算やらが増えれば、なにはともあれお金が動くわけなので、経済対策にもなりますしね。風が吹けば桶屋が儲かるってヤツですね。
戦争になればもっと大きな風が吹くのでしょうが、それはだいぶ悲しげな経済対策になってしまいますよね。ただし、イラク戦争開戦は人間が野蛮であったはるか大昔のお話ではなく、たった6年前の現実の出来事である事も事実です。
全中裏はんぱねぇ